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予測の範囲

最近の自動車があまり好きになれない理由が
なんとなくぼんやり見えている。

例えると、
コンピューターの打ち込み演奏で歌手が歌う感じ。
楽譜の範囲内で確実にバックの演奏が処理されるので、
歌手が驚く事態にならない。
ドリフターズの生放送時代、
停電で真っ暗の中放送を続けたような話に似ている。
本来は何が起こるか分からない。
それに対応するから人間が磨かれる。

今の車は、設計者が予測している範囲しか動かないので、
安全を担保するためには予測から外れない様に制御する
必要がある。
範囲が狭まれば予測しやすい。

今の音楽は「人間の危うさ」を感じない。
危うさを感じないから驚きも少ない。

今の車は「車の危うさ」を感じない。
破綻しない。
しかし、思い通りにならない。
どんなに見た目を古い感じに仕立てても、
車らしさが無い。

この世の中に「楽器」が古い形のままで生き残っているのは、
演奏者に委ねている道具だから。
車が運転手に委ねなくなっている今、
未来を感じる事ができない。
という少し残念な話。

旧車の値段が上がるのはバイオリンと同じ。

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